ご不幸にも近親者がお亡くなりになられて、その方の遺産を整理・相続をしなければならない場面においては、「どのように手続を進めていけば良いのかわからない」「自分たちだけでは手続きが難しい」といった状況に陥ることがあります。多くの方が、一生に一度は経験する可能性の高い「お困りごと」のひとつなのではないでしょうか。
今回は、遺産整理で必要とされる作業のうち、「遺産整理前に確認するべきこと」「相続人確定調査」「法定相続情報証明制度」について、掘り下げてゆきたいと思います。
遺産整理前に確認するべきこと
・故人に関して、亡くなった後に取得した戸籍や住民票(死亡届など)の一式
→相続人を特定してゆく過程で必要になります。
・遺言書の有無
→検認申立・遺産分割協議の要否など、手続が変わってくるので確認が必要です。
・相続人中に、未成年者・制限行為能力者がいるかどうか
→成年後見申立・特別代理人選任申立など、遺産分割前に必要となる手続が発生する可能性があるため、正確な確認が必要です。
相続人確定調査
「戸籍の収集」
相続の手続に必要な戸籍を、確実に集めていくことが何よりも重要になります。相続人を特定し、その後の相続手続きに必要となる「法定相続情報」を作成して、財産分配等の手続に活用するためにも必須な作業です。
複雑な相続関係の場合は戸籍の取得通数も数十通にもおよび、戸籍収集を完了するまでに数カ月を要する場合もあります。
<基本、必要となる戸籍は下記のとおり>
・被相続人の戸籍の附票または住民票の除票
→被相続人の最後の住所地を確認・証明する書類になります。
・被相続人の死亡から出生まで遡ったすべての戸籍
→死亡により除籍となった戸籍から遡ってゆき、被相続人が生まれて親族の戸籍に入った時点までの戸籍を漏れなく集めてゆきます。
・相続人の現在の戸籍・附票(または住民票)
→相続人が「現時点で存命」であることの証明のため、相続人各人の現在の戸籍が必要になります。また、相続人の現住所の確認のため附票(または住民票)も必要になります。
・被相続人の両親の死亡から出生まで遡った戸籍
→兄弟姉妹が相続人になる場合に必要になります。被相続人の兄弟姉妹(異父母兄弟も含む)が誰であるかを特定するために収集が必要になることがあります。
・廃棄証明
→戸籍の附票・住民票の除票が保存期間経過で廃棄されている場合に取得します。「最後の住所が確定できない」ということの証明として用いることになります。
「相続関係説明図(相関図)の作成」
被相続人についての相続関係をまとめた簡易家系図のようなものになります。被相続人と相続人との関係を視覚化することのみならず、実際の相続手続き、特に不動産関連登記の変更手続に必要とされる「法定相続情報」作成の基礎となるものとなります。
法定相続情報証明制度
「制度の概要」
法務局へ相続手続きに必要な戸籍類一式を提出し、登記官が内容を確認した上で、法定相続人が誰であるかを登記官が証明する制度になります。
「なぜ使うべきか」
預金の解約手続き・株式の移管手続き・不動産の相続登記では、相続人確定のために被相続人の死亡から出生まで遡った戸籍一式などが必要になります。法定相続情報があれば、手続に必要な戸籍の情報がこの証明書に集約されているので、基本的にはこの証明書を持ってゆけば事足りることになります。
「申請と受け取りの流れ」
被相続人の相続人を特定するために収集した戸籍書類の全部と、申出人で作成した「相続関係説明図(相関図)」を、管轄の法務局に持参申請または郵送申請します。登記官による書類の確認後に、登記官の認証文付き法定相続情報一覧図の写しが交付され、相続手続きで使用する戸籍の代わりとすることができるようになります。
行政書士にお任せするのが合理的
ここまでの流れは、相続人を確定するための課程で必要な作業部分になります。一般的には、相続人の確定作業を進めつつ、被相続人の財産調査を実施して、分配財産の特定と確定をしてゆきます。被相続人が遺言書等を残していなければ、相続人全員で遺産分割の協議を行い、協議書等を作成して、財産分配の手続に進んでゆく流れになります。
遺産相続の手続は、相続者(ご相談者)ご自身でも日常生活の合間で行うことはできますが、時間と手数の負担は決して軽くはなく、例えば平日にお勤めの代表相続人の方が手続執行者となることは、かなり非合理的です。相続人が多かったり、親類縁者との関係が希薄・疎遠であったり、被相続人の住所地から遠方にお住まいの方がいらっしゃるが故に手続が滞るなど、完了までのハードルが非常に高くなってしまうことも少なくありません。また、不慣れな手続きと専門的な作業も多くあるため、仮に相続人であるべき縁故者の一人を誤って省いてしまうといった失敗を犯してしまうと、その後のご親族間の信頼関係に影を落としてしまうことにも繋がりかねません。
実質は、行政書士にお任せするほうが、費用対効果の面でも、かなり合理的なのです。ただし、相続人間で案件特有の紛争等が生じてしまった場合には、行政書士がお手伝いできる範囲が大きく制限されるため、受任すること自体が実質的に困難になります。お困りごと、ご心配ごとがございましたら、トラブルになる前に、お近くの行政書士にご相談ください。(状況によっては、弁護士の紹介でご対応させていただくことはあります。)
遺産相続に関するお困りごとにつきましては、まず当事務所にご連絡ください。
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