「知的資産」とは

企業の資産を評価する際に、賃借対照表や損益計算書のような財務諸表を活用して比較・確認できる財務データを「有形資産」と呼ぶことに対して、経営者の能力、蓄積したノウハウ、信用など、財務データには表れない経営資源(有形資産に対して無形資産)を「企業の強み」として評価したものを「知的資産」と呼びます。企業に潜在・顕在する形のない経営資源全ての概念を含みます。

知的資産を「見える化」すると申しましても、自社の技術の中身や原理そのものを開示することで他社の模倣が容易になって、自社の競争力が低下するようなものに関して開示することは好ましくありません。
今回は、正しく知的資産を「見える化」するとはどういうことなのか、また「見える化」することで得られるメリットについて、フォーカスしてみたいと思います。

なぜ「見える化」をする必要があるのか

「見過ごされがちな知的資産」や「知的資産の関連性」を見つめ直して、自ら知的資産の価値を再評価していくことで様々な「評価ポイント」が出てきます。よって「見える化」をすることは開示することとイコールではなく、知的資産(無形の強み)の戦略的な活用の前段階の作業と捉えるとよいでしょう。

たとえば、水道管の修理を専門に扱っている水道屋さんが、その修理技術を基にして電気店のエアコン設置・修理請負の分野に展開をしていこうとする場合、従来の取引企業とは異なる分野の企業と連携するのですから、水道修理の売上実績のみを自慢してもあまり響きません。そのサービスのベースとなっている基幹技術などを丁寧に説明し、請け負いたい分野の技術課題に応えられることを説明するほうが効果的です。つまり、自慢のサービスを紹介するだけでなく、さらに踏み込んで、なぜ自慢のサービスが提供できるのかを述べることが効果的なのです。

「製品」「サービス」はコモディティ化する

製品やサービスの強さは、ライバル企業や代替品の登場などにより、いつかは他との差はなくなってゆきます。これを「コモディティ化」といいます。自社製品・サービスの進歩がなければ、コモディティ化によって強さが失われてゆきます。
コモディティ化を避けるためには、「製造技術などの強みをさらに向上させる」「製造技術を用いて他製品や他事業への進出を図る」必要があります。
そのきっかけを掴むためにも、自社の知的資産を「見える化」をすることによって、自社製品の背後に隠れている技術などに対する正しい理解をすることが重要になってきます。

「技術」もコモディティ化してしまう

残念ながら「製品」「サービス」と同様に「技術」もコモディティ化します。技術そのものも絶えず強化する必要があるのです。つまり、企業の強みを見るには、保有技術を見てもまだ足りず、「技術を強化している取組み」も見なければなりません。

そこで、技術強化に向けた取組みを支える「人財」を見ることが重要になってきます。技術力を支えるのはその企業で働く「人財」であって、単に装置が導入されていることだけでは競争力を確保しているとは言えないからです。企業の強みを理解するには、それを産み出す技術やノウハウ、さらにはそれを支える「人財」を見ることも重要になってきます。

「人財」が、単に技能を有しているかどうかだけでなく、たゆまぬ努力をし続けられる忍耐力や組織のチームワークに影響する性格の良さなども、総合的に威力を発揮して「企業の強み」になっていること多くあります。また、直接的に技術を保有している従業員だけでなく、技術開発ができる環境づくりに注力している「人財」がキーマンであったりすることがあるため、そのことを見落とさないようにすることも重要です。

「人財」との関連性を見える化できるかどうか

いつの時代も、継続的に発展している企業に共通するキーサクセスファクターは、「資産価値を産み出してくれる「人財」の存在」です。
―――いつまでも、製品・サービスの価値を産み出していらっしゃる従業員の方々が、数としての「人材」という見え方のままになってはいませんか?
ぜひ、従業員の皆さんをただの「人材」としてではなく、「人財」として輝く姿を再確認するとともに、それを「見える化」してみませんか?
「見える化」できれば、従業員の方からにはもちろん、周りのステークホルダーから、ポジティブで明るい将来性を感じさせる企業としての評価を得られやすくするでしょう。

見えていない知的資産の流れを「見える化」することで得られるメリットについて、ほんの一部分だけですがご紹介させていただきました。「行政書士千葉だいき事務所」の経営支援においては、ご依頼者様のニーズと状況に合わせつつ、無理なく「知的資産経営」の流れを活用するお取り組みをお勧めしています。

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