「知的資産」(無形の強み)とは

企業の資産を評価する際に、賃借対照表や損益計算書のような財務諸表を活用して比較・確認できる財務データを「有形資産」と呼ぶことに対して、経営者の能力、蓄積したノウハウ、信用など、財務データには表れない経営資源(有形資産に対して無形資産)を「企業の強み」として評価したものを「知的資産」と呼びます。企業に潜在・顕在する形のない経営資源全ての概念を含みます。
実は多くの企業において「自社の強み」と考えている項目は、非財務項目である「知的資産」であることが多く、わかりやすく「無形の強み」と表現することで説明をしてゆくことがあります。

「知的資産」の位置づけ

言葉としての「知的財産」の方が耳慣れた表現なのかと思われますが、実は「知的資産」に含まれている概念が「知的財産」であり、さらにその「知的財産」に含まれる概念が「知的財産権」として位置づけられます。

関係式で表すと、③「知的資産」≧②「知的財産」≧①「知的財産権」となります。

①「知的財産権」
著作権、産業財産権(特許権・実用新案権・意匠権・商標権)、種苗品種の育成者権、半導体回路配置利用権等の「権利化された知的財産権」

②「知的財産」
「権利化された知的財産権」を含み、権利化されていない発明・考案・デザインなどの知的創作、商号、ブランド、ビジネスモデル、営業秘密、ノウハウ、データベースなどの不正競争防止法などで保護を受け、またビジネス・経営に活用できる「知的財産」

「知的資産」
「知的財産」のほかに、経営理念、人材、技術力、社員教育システム、組織力、ネットワーク、事業の許認可、社会的信用、名声など、ビジネス・経営に活用できる経営資源の総称

「知的資産」は「何処に属するか」という観点で3分類される。

①人的資産(個人に帰属する資産)
職人技、その人の人脈・顧客ルート・取引ルートなど、個人に属し、その人が退社するとその人と共に離れてしまうもの

②構造資産(企業に帰属する資産)
組織、データベース、社風、企業技術、管理システム、教育システムなど企業の特性や体質化したもの

③関係資産(企業外に醸成されている資産)
企業イメージ、顧客満足度、社会的信用、金融機関の評価など対外的に構築してきたもの

「知的資産」と企業評価

企業評価の際に、賃借対照表や損益計算書のような財務情報以外に、会社の規模や取引実績などの一部の非財務情報が用いられます。中小企業が評価される際には大手企業との取引実績が少ない場合や歴史の浅い企業では、どうしても評価を低くされがちになります。

評価を望む側が評価をしてもらいたい場合、判断ができるだけの分かりやすく詳細な情報を積極的に提供してゆくことが必要になります。そのためには、企業が有する土地や現金などの財務データだけでなく、売り込みたい商品やサービスの性能や品質のことはもちろん、それらの商品やサービスを生み出す原因になっている人材や取引機関との関係というような非財務情報の、丁寧で分かりやすい情報開示が必要になります。

「事業計画書」への活用

国は中小企業の活性化の切り札として、どの企業にも潜在する隠れた強み(知的資産)を経営に活用する「知的資産経営」の推進を図っています。これは、知的財産権に限定されない、もっと広い概念の無形の資産(=知的資産)を中小企業の経営に積極的に評価し活用しようとする経営手法になります。

「行政書士千葉だいき事務所」では、補助金申請の際に必要となる「事業計画書」作成のサポートをさせていただく際に、申請者の方に「知的資産経営」の中身をご紹介をしつつ、少しでも知的資産情報を用いた内容での作成をお勧めしております。申請者の方の同意のもとで、知的資産の洗い出しのサポートから、得られた非財務情報を分かりやすい表現でまとめるサポートにも努めております。

「知的資産経営」導入をお考えの方は、お気軽に当事務所にご連絡ください。
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