補助対象事業の目的と事業計画の策定要件
中小企業等が行う、既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的とします。(公募要領からの抜粋・まとめ)
中小企業新事業進出補助金の補助対象事業として採択を受けるには、後述に記載する要件を満たす事業計画(3~5年の計画)の策定に取り組むことになります。
中小企業新事業進出促進補助金の「第2回公募要領」から要点を抽出して、概要のみを簡潔に記載してお伝えします。(今回は「賃上げ特例要件」「連携体申請」「組合特例」と「対象外事業」に関する記述は割愛させていただきます。)
新事業進出要件
新事業進出指針に示す「新事業進出」の定義に該当する事業であること。「新事業進出」の簡単な内容も含めて下記の①~③に記述しています。定義の詳細と考え方は「新事業進出指針」と「新事業進出指針の手引き」に示されています。
 →現実的には、補助事業計画の「製造等をする新製品等」を具体的に決定する過程と並行しつつ、「新事業進出指針」と「新事業進出指針の手引き」に準ずる補助事業の対象事業となり得るのか否かも、しっかり確認をしなければなりません。
① 製品等の新規性要件
製造等する新製品等が、新規性を有するものであること。(単に、製品等の製造量・提供量を増大させるというだけではNG)
② 市場の新規性要件
事業者にとって「新たな市場」であること。「新たな市場」とは、事業者がこれまでに対象としていなかったニーズと属性を持つ顧客層を対象とする市場を指す。(新製品が既存品に対して、市場が同一であったり、商圏が異なるということだけではNG)
③ 新事業売上高要件
次の(ⅰ)か(ⅱ)のいずれかを満たすこと。
(ⅰ)事業最終年度において、新製品の「売上高」又は「付加価値額」が「応募申請時の総売上高の10%」又は「総付加価値額の15%」を占めることが見込まれるものであること。
(ⅱ)応募時直近の売上高が10億円以上であり、かつ、新事業進出を行う事業部門の売上高が3億円以上である場合
→事業最終年度において、新製品の売上高又は付加価値額が、「応募申請時の当該事業部門の売上高の10%」又は「付加価値額の15%」以上を占めることが見込まれるものであること。
付加価値額要件
定義:「付加価値額」=「営業利益+人件費+減価償却費」
「付加価値額基準値(補助事業終了後3~5年の事業計画期間における「付加価値額」の年平均成長率)」が4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定する。
→事業者自身で「付加価値額基準値」以上の「目標値(=付加価値額目標値)」を設定して、事業最終年度において、それを達成するということになります。
賃上げ要件
以下のいずれかの水準以上の賃上げを達成する計画が必要。
(ⅰ)補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、一人当たり給与支給総額の年 平均成長率を、事業対象地域の各都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上増加させる。
【都道府県別最低賃金年平均成長率(令和2年度~6年度)】
→北海道は3.2%(ほかの都府県は2.8~4.3%になっています)
(ⅱ)補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、「給与支給総額基準値(給与支給総額の年平均成長率)」を2.5%以上増加させること
【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】
付加価値額要件及び賃上げ要件において、基準値を上回る高い目標値が設定されている場合、高さの度合いと実現可能性が考慮されて審査されます。(無謀な数値設定では、実現可能性が低いとみなされて、採択されにくくなるということでしょう)
事業場内最賃水準要件
補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、毎年、事業場内最低賃金が事業対象地域の都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準であること。
→目標値未達の場合、補助金返還義務あり
ワークライフバランス要件
「一般事業主行動計画」を公表していること
 →「次世代法(次世代育成支援対策推進法)」第12条に規定する「一般事業主行動計画」の策定・公表が必要です。応募申請時までに、情報サイト「両立支援のひろば」に掲載の完了が必要です。1~2週間程度の期間を要しますので、早めの準備が必要です。
金融機関条件
補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けていること
→「金融機関による確認書」を提出することになります。(資金提供を受けずに自己資金のみで補助事業を実施する場合は不要)
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